2020年、コロナ禍の緊急事態宣言。独立資金として背負った借金の返済が立ち行かなくなった一人の男性が、偶然目にしたYouTube動画をきっかけに女性用風俗の門を叩いた。
それから約6年。天宮りんたは現在、OASISグループの本店・大阪店の店長として、新人教育から運営管理まで幅広い業務を担っている。
借金返済という切実な動機から始まったキャリアが、いかにして「社会貢献」と胸を張れる仕事へと昇華されたのか。波乱に満ちた経歴の全貌に迫る。

YouTube動画が人生を変えた——セラピストへの入口

天宮りんたがこの業界を知ったのは、約6年前のことである。Instagramのストーリーで流れてきたのは、YouTuber・ラファエルとのコラボ動画であった。「こんな業界があるのか」という驚きとともに目に留まったのは「高収入」の文字。元々、鍼灸師と柔道整復師の資格を持っていたこともあり、マッサージ技術を活かせる仕事だと直感した。
当時の彼は、自身の出張マッサージ事業のために独立資金を借り入れていた。そこにコロナ禍の緊急事態宣言が直撃し、思うように働けない状況に追い込まれる。「とにかく借金を早く返したい」その一心で応募し、トントン拍子に採用が決まった。
興味深いのは、コロナ禍の女性用風俗業界が実は活況だったという事実である。「ぶっちゃけ言うとめちゃめちゃ流行っていた」と天宮りんたは振り返る。飲食店も営業していない中、「このタイミングで初めて利用してみよう」という女性が増えた時期だったのだ。皮肉にも、パンデミックが新規利用者の参入を促す結果となった。

面接と講習のリアル——「え、今やるんですか?」

面接の記憶は鮮烈だ。10名ほどの応募者が集められ、辺鄙な待ち合わせ場所から説明もなく移動を促される。「これ、大丈夫か?」という不安と戸惑いの中で面接が始まった。移動先でも「大丈夫かな」という気持ちが続いたが、丁寧な説明を受けて安堵したという。
面接後には応募者同士で連絡先を交換しないよう指示された。当時は「変な連絡が来るんじゃないか」と不安に思ったこともあったが、業界の機密性を保つための措置だったのだろう。同期で面接を受けた10名のうち、最終的にデビューに至ったのはわずか数名。この業界の”入口の狭さ”を象徴するエピソードである。
講習はさらに衝撃的であった。受講者全員の前で実技の実演と指導が行われ、講師は恥じらいなく的確に指示を出す。モデルも平然と応じ、周囲の受講者もそれが当たり前という空気。「じゃあ次、足の指を舐めるよ」という指示に対して「今やるんですか」とも言えない雰囲気に、カルチャーショックを受けたと振り返る。

Shizuku編集部
女性用風俗の講習制度は、外部からは見えにくい業界の”品質管理”の核心部分である。講習の段階で脱落する応募者が一定数いるという事実は、デビューしたセラピストが相応の覚悟と適性を持っていることの証でもある。面接の倍率の高さと合わせて、利用者にとっての安心材料のひとつと言えるだろう。

下手だった半年間——先輩との”ダブルセラピスト”が転機に

順調にデビューを果たした天宮りんただが、最初の半年間は苦しい時期であった。性感の段階で女性の反応が得られず、「とりあえずいいからマッサージだけしてよ」と施術を拒まれる経験もあった。何も言わずにリピートしないお客様が大半で、自分の何が悪いのか分からないまま半年が過ぎた。
「今までの普通の概念で女性と接していたら、これだけ嫌がられるんだ」その気づきすら、長い時間をかけなければ得られなかった。転機となったのは、先輩セラピストとの「ダブルセラピスト」(2名体制での接客)の機会であった。先輩がどこまで細やかに女性に気を配り、尽くしているのかを間近で見て衝撃を受けた。それまではソロプレーゆえに、自分の接客を客観視する機会がほとんどなかったのだ。
それ以降、先輩に積極的に質問し、学びを自分の接客に反映させるサイクルが生まれた。この「見て盗む」経験が、後に新人教育の講師として活動する原点になっている。

OASIS|天宮りんた
普通に過ごしていたら気にならないことに、女性はものすごく敏感。僕ら側がめちゃめちゃ気を遣って、やっとフィフティフィフティぐらいの関係になれる。

なお、天宮りんたの初めての予約は変わったものだった。当時の無料キャンペーンで入ったお客様と中目黒の焼肉店でランチ。昼の13時にビールを飲みながら船盛りの焼肉を二人で食べるという、施術とは無縁の内容だった。「昼の焼肉から始まる予約は、なかなかない」と笑う。その後も引っ越しの荷造り手伝いや犬の散歩など、ユニークな予約を数多く経験してきたという。

社会貢献としてのセラピスト——お客様の人生が変わった具体例

6年のキャリアを経て、天宮りんたがこの仕事に見出した価値は「社会貢献」である。具体的なエピソードを聞けばその言葉に嘘がないことが分かる。

  • 夫婦のレスに悩んでいた女性が、通い続けるうちにメイクが変わり、表情が明るくなり、自信を取り戻していった
  • 処女だったお客様から「彼氏ができたよ」と報告を受けた
  • レスだった夫婦にお子さんが生まれ、「今幸せだよ」と近況を知らせてくれた

セラピストを卒業した後も続く関係性こそが、いい仕事をした証なのだと彼は語る。大手企業のサラリーマンでは決して得られない種類の充実感が、この仕事にはある。
現在はプレイヤーとしての時間は限られているが、性的に深い悩みを抱える女性の「最後の砦」としての役割を担い続けている。

Shizuku編集部
天宮りんたのキャリアで注目すべきは、「下手だった半年間」を隠さず語っている点だ。業界で成功した人間がデビュー当初の失敗を率直に公開することは、これからセラピストを目指す人にとって大きな励みになる。
最初から上手くいく人はほぼいない。重要なのは、ダブルセラピストのように客観的な視点を得る機会を自ら掴みにいく姿勢である。利用者にとっても、こうした成長過程を知ることで、セラピストの技術がどれだけの努力の上に成り立っているかを理解できるだろう。

この仕事の”やりがい”とは

売上やランキングといった数字では測れない価値が、この業界にはある。お客様の人生の転機に関わり、変化を見届けられること。天宮りんたの言葉を借りれば、「お客様が人生の最期に思い出してくれるような存在になること」が究極の目標なのだ。

店長業務の実態——朝10時から終電まで、具体的な業務内容

現在の天宮りんたの主業務は店長としての裏方仕事である。具体的な業務は以下の通りだ。

  • 新人セラピストのデビューまでのサポート
  • マニュアル教育とシステム周りの指導
  • X(旧Twitter)運用の講習
  • 細かな規則の遵守を一人ひとりに丁寧に教え込む

朝10時から終電前後まで事務所に常駐し、副業で夜にしか来られないセラピストとも必ず顔を合わせる。ワークライフバランスという概念はほぼ存在しない日々だが、スケジュールの合間にサウナで”デジタルデトックス”を行い、常にスマホが鳴り続ける環境から意識的に離れる時間を確保している。

まとめ——借金返済から始まった道が「天職」になるまで

コロナ禍の窮地から始まったセラピスト人生は、6年の歳月を経て多面的なキャリアへと発展した。本記事の要点を整理する。

  • 入口はYouTube:偶然見た動画がきっかけ。コロナ禍で借金返済が急務だった
  • 最初の半年は苦戦:施術を拒まれる経験を重ね、先輩とのダブルセラピストで転機を掴む
  • 社会貢献の実感:お客様の人生が変わる瞬間に立ち会える仕事
  • 店長としての現在:朝10時から終電まで事務所に常駐し、新人教育から運営管理まで担う
  • メッセージ:きっかけが何であれ、本気で取り組めばこの業界が人生を変える力を持っている

天宮りんたの個人YouTubeチャンネルでは、6年間で蓄積したセラピストとしての技術や解剖学の知識を発信しているので、ぜひチェックしてみてほしい。

よくある質問

Qコロナ禍をきっかけにこの業界に入った人は多いですか?
A

少なくない。コロナ禍では利用者側も新規参入が増えた時期であり、セラピスト需要も高まっていた。現在も副業や転職先として業界に参入する男性は増加傾向にある。

Qセラピストの講習は厳しいですか?
A

実技を含む実践的な内容であり、一般的な感覚からすると衝撃を受ける場面もある。ただし、段階的にステップアップする仕組みが整っており、真剣に取り組めば着実に成長できる環境である。

Q店長になるにはどのくらいの経験が必要ですか?
A

一概には言えないが、天宮りんたの場合はセラピスト歴約6年で店長に就任している。実力と信頼、そして組織への貢献度が評価基準となる。

Qダブルセラピスト(2名体制)の予約はどうすればよいですか?
A

予約時にダブルセラピスト希望と伝えれば対応可能である。片方はリピーターのセラピスト、もう片方は初めてのセラピストという組み合わせが人気とのこと。2対2や3対3という形式も存在し、飲み会からスタートして各部屋に分かれるといった非日常的なプランも組める。

Qセラピストに向いている人はどんな人ですか?
A

天宮りんたは「女性に尽くすことが好きな人」「向上心がある人」を挙げる。日常では”余計なお世話”とされることが、セラピストにとっては武器になる。過去の実績や能力に関係なく、やる気次第で誰でも人気セラピストになれる業界だという。