数千万円を稼ぎながら、一度も確定申告をしていなかった人がいました。税理士の依頼があり、申告を済ませた1〜2週間後、同じ状況にあった他の同業者には税務調査が入り、数千万円を持っていかれたといいます。

この話をしてくれたのは、副業でホストも経験した夜職専門の税理士、夜野仁さん。夜の仕事と女性用風俗にまつわる、お金と税金のリアルを伺いました。

億を稼いでも半分は税金、野球少年が税理士になるまで

Shizuku編集部
まずは簡単に、自己紹介と今のお仕事について伺えますか。
夜野仁
わかりました。自己紹介ですよね。口頭で話せばいいですか?
Shizuku編集部
もちろんです。自由にお話しいただければ、文章はこちらで整えますので。
夜野仁
本業は税理士です。それとは別に、副業としてホストとしても活動していました。
ホストを始めた理由のひとつは、夜の業界のお金の流れを理解したかったからです。夜の業界には特殊な経費やお金の動きがあります。給与形態がどうなっているのか、どんなものにお金がかかるのか。そこを理解して、まわりの方の税務知識の向上につなげたい。税理士として活動するなかで、ホストも副業で始めました。
Shizuku編集部
そもそも税理士を目指したきっかけは何だったのでしょう。学生時代からですか?
夜野仁
実は、特段税理士になりたかったわけではないんです。
Shizuku編集部
そうなんですね。
夜野仁
ただ、ちっちゃい頃からずっと野球をやっていて、プロ野球選手の税金問題がちょくちょくニュースで取り上げられているのを見ていました。億を稼いでも半分持っていかれる。すごい世界だなと思いながら見ていましたね。

億を稼いでも半分持っていかれる。すごい世界だなと思いながら見ていました

夜野仁さん
Shizuku編集部
野球への関心から、税金のことを考える機会が増えていったと。
夜野仁
小学校の頃から、所得税率もなんとなく覚えていました。僕もプロ野球を目指していたので、税金対策をするにはどんな経費があるのか、といったことは見ていたんです。でも自分が税理士になりたいとは、特に思っていませんでした。
Shizuku編集部
とはいえ、資格を取るのも結構大変じゃないですか。
夜野仁
大学を卒業したとき、就活をしていなかったんです。どうしようかなと思っていたら、税理士の試験が8月にある。じゃあ取り急ぎ勉強するか、という流れでした。
Shizuku編集部
就活をせず、まずは8月の試験へ。何から手をつけたんですか。
夜野仁
ただ、簿記を勉強しようとしたら全くわからなくて。それなら税金を徴収する側の勉強をしようと、国税徴収法という科目を選びました。小さい頃からテレビで税金問題や差し押さえの話を見ていたので、イメージがつきやすかったんです。3か月ぐらい勉強したら受かりました。
Shizuku編集部
簿記ではなく、徴収する側から入ったんですね。そこからは勉強一筋ですか?
夜野仁
いえ、1科目取ったあとは税理士事務所に入りました。実際の仕事のイメージが湧かないと無理だと思ったので、勉強より先に実務を覚えようと。最初は広島で働いて、そのあと横浜のかなり忙しい事務所に入りました。
Shizuku編集部
勉強より先に実務、それも忙しい事務所へ。現場で何がつかめたんでしょう。
夜野仁
会計ソフトで仕事をしていると、簿記の知識が自然とついてくるんです。それでなんとなくイメージが湧いてきたところで、病気で入院することがありました。入院している間は時間があるので、そこで勉強ができた。そういう形です。
Shizuku編集部
実務で税の仕組みをつかんで、入院中の時間で一気に勉強を進めた、と。
夜野仁
まあ、そういう形ですね。

国税徴収法とは

税理士試験の科目のひとつで、税金を納めない人から国がどう徴収するか(差し押さえなど)を定めた法律を扱います。夜野さんは簿記が全くわからなかった時期に、子どもの頃からテレビで見ていた「差し押さえ」のイメージを手がかりにこの科目を最初に選び、3か月ほどの勉強で合格しています。

野球に打ち込み、勉強の前にまず現場へ飛び込む。聞き手が「かなり行動派なんですね」と感じたこの性分が、のちに夜野さんを思いもよらない場所へ連れていきます。

顧問先のオーナーに声をかけられたことをきっかけに4か月で20キロ絞ってホストの世界へ

Shizuku編集部
税理士という堅い仕事があれば、将来も困らなそうですよね。それでも夜の世界に行ってみようと思ったのは、何か出会いがあったんですか?
夜野仁
あー、どんなきっかけか。本当に簡単なきっかけなんです。ホストクラブのオーナーになるとおっしゃっていた方から、税金のこともお願いしたいと言われていて。そのときに、キャストがちょっと足りない、ちょっと手伝ってくれませんか、と声をかけられたのが始まりでした。結果は違うグループに入ることになったんですけどね。
Shizuku編集部
顧問先からのお誘いだったんですね。とはいえ、まったく違う世界じゃないですか。ためらいはなかったんですか。
夜野仁
でも当時の僕、いまより20キロぐらい体重が多かったんです。やるからには体型を絞ろうと思って、次の日から食事制限を始めました。準備期間は4か月しかなかったので、4か月で20キロ落としました。やるからにはちゃんとやりたい、という気持ちが強かったんで。
Shizuku編集部
4か月で20キロ……。そこまでやるのは、もともとホストをやりたい気持ちがあったからですか?それとも、誘われたからにはしっかり、という感覚ですか。
夜野仁
ホストってすごくかっこいいな、とは思っていました。お客さんとして会うなかで、尊敬に近い気持ちがあったというか。
決定的だったのは、初めてホストクラブに行ったときに出会ったホストです。業界ではレジェンドと呼ばれるような方で、後に僕も同じ店舗に所属することになります。今まで出会ったことがないぐらいかっこよくて、この人たちに勝たないといけないんだ、と思いました。
Shizuku編集部
「この人たちに勝たないといけない」とまで思わせる出会いだった。
夜野仁
だから、やるからには本当に全力でやらないといけない。仕事としてちゃんとやらないといけない。その気持ちが強かったと思います。ホストになりたいという気持ちだけなら、このきっかけがなかったらやっていなかったと思います。
Shizuku編集部
トップクラスの人と出会って、肩を並べられるところまでやり切りたい、と。
夜野仁
そうですね。

こうして始まったホスト生活。ところが最初に待っていたのは、税理士の知識だけでは想像できなかった戸惑いでした。

2か月で1億5,000万円、それでも社長たちに頼らなかった2年目

Shizuku編集部
実際に始めてみて、ギャップや苦労はありましたか。
夜野仁
最初はお客様の気持ちがつかめなくて、戸惑いました。急にブロックされたり、急に強い口調で責められたり。2時間連絡が取れなかっただけで、こんなに怒られるんだと驚いたこともあります。
Shizuku編集部
2時間連絡がつかないだけで。ほかにも驚いたことはありましたか。
夜野仁
朝起きたら着信が20件ぐらい入っていて、何事だ?と思ったりとか。正直、不思議な体験でしたね。毎日お客様の連絡を返さないといけないし、連絡は常に来る。その大変さは、やってみて初めてわかったことです。
Shizuku編集部
売上やランキングの面では、どうだったんですか。言える範囲で。
夜野仁
4か月の準備期間で何ができるかを考えて、これまで一緒に仕事をしてきた社長さんたちに声をかけました。僕が協力してきた方々で、お金を持っている人たちは飲みに来てくれるだろうと思ったんです。
ただ、初日に売上が立っても、それは一時的なもの。継続させられるかどうかは、また別の問題でした。始めたのは2024年の11月です。
Shizuku編集部
割と最近なんですね。
夜野仁
あ、そうですね。11月と12月は社長さんたちが遊びに来てくれて、いろいろ貢献してくれました。2025年は……あ、2024年か。2024年は、その2か月で1億5,000万円売りました。
Shizuku編集部
税理士のバックグラウンドがあるからこその、なかなか見ない戦い方ですね。
夜野仁
まあ、そうですね。
Shizuku編集部
社長さんたちの後押しが一段落したあとは?
夜野仁
男性の社長さんたちにはひと通り来てもらったので、あとは一から見つけるしかないなと。2025年は、ほとんど女性のお客様だけで固めました。男性の方もいましたけど、基本的には新規の女性のお客様に時間を使っていました。
Shizuku編集部
へえ、ほぼ女性のお客様だけで。
夜野仁
社長さんたちがいるから売上を作れている、と思われるのがちょっと嫌だったんです。
Shizuku編集部
ちなみに、今も現役でお店に立っているんですか?
夜野仁
いや、出勤は去年、形の上では引退ということになっています。1年2か月だったんですけど。
Shizuku編集部
あ、そうなんですか。区切りをつけたのは、何かきっかけが?
夜野仁
去年はお店でトップ、ホスト業界では3番目でした。売上は1位とほぼ変わらないくらいです。バラじゃないですけど、一番美しいとき、一番輝いているときに引退しようと決めていたんです。そこが達成できた、というのはありますね。
ただ、出勤はしていないものの、いずれまた戻る可能性はあります。

本業の税理士と、副業のホスト。二つの立場を行き来した1年2か月は、税理士としての仕事にどう生きているのか。ここからが夜野さんの本領です。

美容代も手土産も、夜の経費は街ごとに違う

Shizuku編集部
一般的な税理士さんと、夜職に特化した夜野さんとでは、何が変わってくるのでしょう。
夜野仁
夜の業界の強み、ですよね。まずは業界を理解していることです。たとえば、その子が売上を上げるために、月にどのぐらい美容代がかかっているのか。キャバ嬢で例えると、時給5,000円の子が整形をして時給2万円になりました、と。じゃあそれまでにどの部分を直したのか。その子の時給単価まで理解できるんです。
Shizuku編集部
美容への投資が、そのまま時給単価に跳ね返ってくるわけですね。働く場所によっても変わりますか。
夜野仁
エリアによっても違います。どのエリアで働くには、どのぐらいの美容代を毎月かけて維持しないといけないのか。六本木ならこういうお客さんが多いので、ご飯代や接待代、プレゼント代もかかりますよね、と。銀座なら手土産を必ず用意しないといけない。歌舞伎町ならバーの同業も多いので、バーでのお金もかなりかかります。
そういう、業界の人たちのお金の使い方への理解は、他の事務所よりもあると思います。

夜野さんが把握している「夜の経費」の例

  • 売上を上げるために月にかかる美容代(エリアごとに維持に必要な水準が違う)
  • 美容への投資と時給単価の関係(例 時給5,000円から2万円へ)
  • 六本木ではご飯代・接待代・プレゼント代
  • 銀座では手土産
  • 歌舞伎町ではバーの同業とのつきあいにかかるお金
Shizuku編集部
整形にいくら、手土産がどう、なんて業界に入っていないとわかりませんよね。夜野さんと似たような人って、他にいるんですか?
夜野仁
税理士事務所で、ですよね?
Shizuku編集部
そうです、そうです。
夜野仁
いや、いないんじゃないですかね。業界に入らないとわからないことの方が多いと思います。
Shizuku編集部
そうですよね。とはいえ、夜の仕事をしている人がどうやって夜野さんを見つけて、顧問に選んでいるのか、率直に気になります。
夜野仁
なんで僕を選んだか、ってことですよね?
Shizuku編集部
そうです、そうです。
夜野仁
僕を選んでくれるのは、確定申告や税金をちゃんとしないといけない、と思っている方たちです。そのなかで、業界を理解している税理士を探している方が多いですね。
Shizuku編集部
業界を知っている税理士を探している、と。知っているかどうかで、何が変わるんでしょう。
夜野仁
僕らは税金以外の夜の業界のことも理解しているので、話が通じるんです。たとえばバックの話や、罰金というか、休んだときの控除の話。そういうことを税理士が理解していなくて、毎回「なんでこんなに引かれてるの」と説明しないといけないとしたら、この人たちで大丈夫かな、税金の処理は合っているのかなと不安になりますよね。
Shizuku編集部
控除の理由を毎回こちらから説明しないといけない税理士だと、たしかに不安になります。
夜野仁
僕らは逆に、キャバ嬢やホストよりも夜の業界のシステムに詳しくないといけない。誰よりも理解していることが、選ばれている理由だと思います。
それって、僕のホスト経験が生きていると思っていて。ホストをやったことで、たとえばホストとメン地下の違いは何か、といったところまで理解できるようになりました。夜の業界の方たちと会う回数も増えました。プレイヤーとして自分で体験しないとわからないことの方が多かったかもしれません。
Shizuku編集部
そこを強みとして特化するのは、戦略でもあるんですか?
夜野仁
ホストをやったことによって、ですかね?
Shizuku編集部
そうですね。
夜野仁
そうですね。ホストをやったことで、他の事務所よりはプラスに働いていると思っています。
事務所(T-group税理士法人)には、代表税理士の阿部大樹がいます。彼は大手のいわゆるビッグ4の税理士法人に所属していた優秀な税理士で、もともと夜とは一切無縁でした。僕は夜を中心に活動して、彼は他の分野を見る。役割分担をしています。

業界を知っているからこそ見える課題もあります。夜野さんがまず挙げたのは、夜の仕事と納税意識の関係でした。

領収書は丸投げでいい、夜の人に税金のことを考えさせない理由

Shizuku編集部
女性用風俗、ホスト、キャバクラ、ラウンジ。夜職の人が抱えやすいお金の問題には、どんなものがありますか。
夜野仁
税金に関する理解は、どの業種よりも低いと思っています。業界的に、納税意識がかなり低いんです。
昼の仕事で会社員として働いていれば、年末調整の書類を出したりしますよね。夜の業界には、まずそういうものがないんです。
Shizuku編集部
会社員なら年末調整で自然と触れる機会が、夜の仕事にはないと。
夜野仁
それに、普通の仕事と比べて収入も高いので、引かれ物があっても気にしない。キャバ嬢やホストなら源泉所得税の10%が引かれていて、普通なら確定申告をすれば少し還付される場合もありますよ、と考えたりすると思うんです。でも、そういう意識が薄い業界だなと思います。
Shizuku編集部
意識が薄くなってしまうのは、なぜなのでしょう。
夜野仁
お酒を飲むのがメインの仕事だからだと思います。朝までお酒を飲んで、起きたらまた同伴があって、またお酒を飲んで。僕自身はそんなに飲まないんですけど、税金のことに充てる時間がほとんどないんですよね。

源泉所得税と還付

報酬が支払われる段階で、あらかじめ所得税が差し引かれている状態を指します。夜野さんによれば、キャバ嬢やホストは報酬から10%が引かれていることがあり、確定申告をすることで一部が還付される場合もあります。ただし、自分がどのケースにあたるかは人によって異なるため、個別の確認が必要です。

Shizuku編集部
そんな夜職の方を支援するとき、大切にしていることはありますか。
夜野仁
税金の話を難しいまま伝えると、伝わらないんです。それに、夜の業界の人は昼の方たちに比べて、細かい作業を後回しにしがちな人が多い。たとえば「領収書を何月分ごとに分けておいて」とお願いしても、まず集まらないんですよ。
Shizuku編集部
月ごとに分けて、というお願いすら難しい。そこはどう対応しているんですか。
夜野仁
なので、もう丸投げでいいですよ、と。それならお客様に連絡を一通返すなり、そっちに時間を充ててください、と伝えています。基本的に、税金のことを考えさせないようにしているんです。こちらで全部やりますので、事業に集中してください、という形です。

基本的に、税金のことを考えさせないようにしているんです

夜野仁さん
Shizuku編集部
それは夜の人からすると、めちゃめちゃありがたいですよね。気持ちがわかっているからこそのサポートというか。
夜野仁
おっしゃる通りです。もし僕がホストだけをやっていたら、毎日お客様の連絡を返さないといけないし、連絡は常に来る。そのうえで税金のことまでは、ちょっと考えられないなと思います。

では、女性用風俗ではどうなのか。話は、Shizukuの読者にとって身近なテーマへ移ります。

女性用風俗はお金の流れが違う、知っておきたい会計と経費の話

Shizuku編集部
それこそ、夜野さんとはフーフェスでお会いしましたよね。女性用風俗はこの2年ほどでかなり盛り上がってきて、プレイヤーもどんどん増えている印象です。ホストやキャバクラと比べて、お金の面で違いを感じることはありますか。
夜野仁
お店の経営上の話になりますが、業種ごとに当たり前の習慣があります。必ずこういう処理でなければいけない、というものはないんです。
そのうえで、女性用風俗の場合、キャストがお客様から売上を全部受け取って、そこから場所代、つまり店舗使用料のような形でお店に払う会計処理があるんです。
Shizuku編集部
キャストがいったん全額を受け取る形ですか。ほかの業種とは逆の流れに聞こえます。
夜野仁
普通の風俗、たとえばソープなら、お客様がお店にお金を払って、お店からキャストに報酬として払うのが一般的だと思います。女性用風俗では、一回キャストがお金を預かって、そこからお店に移す。だから、売上としては何千万円も立っていても、お店の手残りの利益率は全然違ってきます。
Shizuku編集部
女性用風俗のお店は、どこもその形なのでしょうか。
夜野仁
そういう形のところが多いイメージですけど、そうしていないところもあります。一概には言えないのが難しいところです。そこを理解している事務所でないと、「なんでこういう形なの」となってしまいますね。
Shizuku編集部
お金の流れを正確に把握できないと、適切に分類できない、と。
夜野仁
そうですね。
Shizuku編集部
夜職ならではの、税務処理の難しさはありますか。
夜野仁
何が経費になるのか、その根拠を見つけるのが、他の業種に比べるとちょっと難しいと思います。そこは僕らも、かなりの数のデータをもとに比較しています。
Shizuku編集部
データで比較する、というのは、たとえばどんなケースでしょう。
夜野仁
たとえば運送業をしている人が、時計代や美容代を経費にしていたら、それはプライベートでしょ、となりますよね。でもキャバ嬢が美容代を入れていたら、それは経費ですよね、となる。全額ではないにしても、どの売上がどのぐらいの割合で、どのぐらいが経費として認められるのか。データを比べないといけないんです。
プライベートに近いものが多いので、その按分の問題が大変ですね。

女性用風俗と夜職のお金で押さえたいこと

  • 女性用風俗では、キャストが売上をいったん全額受け取り、店舗使用料(場所代)としてお店に払う会計処理がある
  • ただしお店によって形は違うため、一概には言えない
  • 美容代のようにプライベートに近い支出は、全額ではなく売上との関係から割合を考える(按分)
  • 何が経費になるかは業種によって変わるため、業界を理解した専門家に相談すると話が早い

経費の扱いひとつで、税金は変わります。では、そもそも申告をしていなかったら。夜野さんが目の当たりにしたのは、わずか1〜2週間で分かれた明暗でした。

申告した人と、しなかった人、1〜2週間で分かれた明暗

Shizuku編集部
夜野さんが入っていなかったら危なかった、という印象に残っている事例はありますか。差し支えない範囲で。
夜野仁
何千万円も稼いでいたのに、無申告だった方がいました。過去の分もちゃんときれいにしておいた方がいいよ、と確定申告をしてもらったんです。
その直後、1〜2週間後に、同じような状況だった他の同業者の方が入られちゃって。
Shizuku編集部
入られた、というと捜査というか、監査……?
夜野仁
えっと、税務調査ですね。
Shizuku編集部
税務調査ですか。
夜野仁
はい。そちらは何千万円も持っていかれた、というケースでしたね。
Shizuku編集部
それだと修正申告では済まなくて、追徴課税で重く取られてしまう……。
夜野仁
修正申告も何も、無申告なので。
Shizuku編集部
そうか、申告していないんですもんね。
夜野仁
そもそも税務調査に入るということは、向こうも時間をかけて動いています。そうなると、経費も認められにくくなるんです。
無申告加算税も20%、30%とかかってきます。そこの部分は救えたのかなと思います。

修正申告も何も、無申告なので

夜野仁さん

無申告加算税とは

申告期限までに確定申告をしなかった場合に、本来の税額に上乗せして課される税金です。夜野さんは取材のなかで、20%、30%といった負担がかかってくると話しています。実際の税率や計算は状況によって異なるため、詳しくは税理士に確認してください。

数千万円の差を間近で見てきたからこそ、夜野さんには業界全体に向けた目標があります。

確定申告率を上げれば、夜の仕事は後ろ指をさされない

Shizuku編集部
夜の業界に特化していて、やりがいを感じるのはどんな瞬間ですか。
夜野仁
基本的に、ゼロの人たちを1にしてあげる仕事なんです。一から教えて理解していただいて、「ちゃんとこういう形になっているんですね」と感謝される。そこから紹介が生まれたときは、とても嬉しいですね。感謝されたときに、やりがいが湧きます。
Shizuku編集部
税理士として、夜の業界をこれからどう変えていきたいですか。
夜野仁
確定申告率の向上は、掲げていきたいです。みんながするようになったらいいなと思っています。
夜の業界は、確定申告をしていない、税金を払っていないから、悪というか、そういう目で見られがちです。でもそこさえちゃんとやっていれば、昼の方たちよりも納税しているような形にもなります。そうすれば、そこを言われることはなくなると思うんです。
Shizuku編集部
申告さえしていれば、むしろ昼の仕事より納めている人もいる。見られ方も変わりそうですね。
夜野仁
国民の義務さえ果たしていれば、何か言われる筋合いはないと思います。もともとちゃんとされている方もいるので、少しでもみんながそうなってくれればいいなと思います。

国民の義務さえ果たしていれば、何か言われる筋合いはないと思います

夜野仁さん

そろそろ締めくくりに、と聞き手が「もう少し話したいことは?」と水を向けると、夜野さんのほうから逆に質問が返ってきました。

これから女性用風俗で働く人へ、始める前の無料相談という入り口

夜野仁
この記事って、だいたいどのぐらいの方が見るんですか?
Shizuku編集部
ずっと掲載が残れば、数千回、数万回は見ていただけると思います。
夜野仁
逆に、僕が女性用風俗をやったときの需要とか、気になりますね。
Shizuku編集部
お問い合わせ先を載せれば反応も見られますし、XなどのSNSで広めることもできます。
夜野仁
これって、男性がよく見るサイトなんですかね?
Shizuku編集部
読者は女性が中心ですが、今後は男性の求人もやっていくので、男性セラピストの方の目にも留まると思います。
夜野仁
女性用風俗は最近、税務調査もちょくちょく入っているケースが多いんです。副業でやられている方も多いと思います。
だからこそ、これから始める方に、どんな形でやれば安心して、安全に働けるのか、周りに知られる心配をどう減らすのか。そういうアドバイスを、事前に無料で相談できるような形で受けたいと思っています。
Shizuku編集部
これから始める人への事前相談、ですね。ほかにも、この記事を通して知りたいことはありますか。
夜野仁
それと、普通に女性の方からの問い合わせも。需要があったらやってみようかな、ぐらいの軽い気持ちですけど(笑)。興味がある方はぜひ連絡ください(笑)。僕でどのぐらい問い合わせが来るのかくらいは知りたいですね。

夜野仁さんへのご相談・お問い合わせ

確定申告や税金の相談、これから女性用風俗で働く前の事前相談は、夜野仁さんの公式LINEから受け付けています。事務所はT-group税理士法人(LAST CALL提携税理士事務所)です。

取材の終わり、夜野さんは「楽しかったです」とひと言。

夜の仕事をしていると、税金のことは後回しになりがちです。けれど夜野さんの話を聞くと、申告を「するか、しないか」の差が、ときに数千万円の差になることがわかります。夜野さんが目指すのは、税金のことを考えさせないほど寄り添うサポートと、夜の仕事が税金を理由に後ろ指をさされない世界でした。

女性用風俗で働いている人、副業で始めようか迷っている人にとって、夜野さんの言う「ゼロを1にする」一歩は、業界を知る専門家に一度話してみるところから始まるのかもしれません。

Q夜野仁さんはどんな人ですか
A

夜の仕事に特化した税理士です。本業の税理士として働きながら、副業で1年2か月ホストとして活動し、在籍店でトップ、ホスト業界で3番目の成績を残したあと、形の上では引退しています。

Q夜職専門の税理士に頼むメリットは何ですか
A

バックや休んだときの控除、美容代やエリアごとの接待費など、業界特有のお金の流れを一から説明しなくても話が通じる点です。夜野さんは、業界を誰よりも理解していることが選ばれる理由だと話しています。

Q領収書の整理が苦手でも相談できますか
A

夜野さんは、領収書を月ごとに分けてもらうといった作業は求めず、丸投げでよいというスタンスです。その時間をお客様への連絡や仕事に充ててほしいと考えています。

Q確定申告をしないまま税務調査を受けるとどうなりますか
A

夜野さんによると、経費が認められにくくなり、無申告加算税も20%、30%とかかってきます。数千万円を持っていかれたケースもあったといいます。

Q女性用風俗を副業で始める前に相談できますか
A

夜野さんは、これから女性用風俗を始める人に向けて、安心して安全に働くためのアドバイスを事前に無料で受けたいと話しています。

※本記事は2026年10月13日の取材時点の内容です。税金の取り扱いは個々の状況によって異なります。具体的な判断は専門家にご相談ください。