「太ってておばさんなんですけど、大丈夫ですか?」。女性用風俗のお店に電話をかけてくる女性の多くが、最初にこう口にするそうです。

その電話を受け続けてきたのが、大人の女性用風俗「3040」東京本店のなかむら店長です。Xでは「ピンク店長」として発信する店長に、電話の向こうの女性のこと、セラピストのこと、そして代表への思いを聞きました。

副店長の僕が、バイトの彼に「ものの5分で逆転」された出会い

Shizuku編集部
まずはベタなところから。3040の店長になるまでの経歴を伺えますか。勝手ながら、すごく濃そうだなと思っていまして。
なかむら
かいつまんで話すと、20歳ぐらいのときに代表の一条と出会ったところからなんです。はじめさんとのことは、うちのキャストの間ではもう周知の事実なので、そこから話させてもらいますね。
なかむら
20歳のとき、僕が働いて副店長をやっていたお店に、はじめさんがアルバイトで入ってきたんです。同い年なんですけど、人として信用できるし、面白いし、圧倒的なカリスマ性があって、仕事もすごくできた。僕が副店長で、彼がバイト。とんでもない差があったはずなのに、ものの5分で逆転しました(笑)。
Shizuku編集部
副店長とバイトの立場が、ものの5分で(笑)。それだけ最初から光るものがあった、と。
なかむら
そこからはもう、僕が彼を尊敬する側です。お互いにそのお店を辞めて散り散りになっても連絡は取り合っていて、彼が1回目の独立でラーメン屋さんをやったときも、ちょこちょこ行き来がありました。
なかむら
その後、彼が新しく働き始めたラーメン屋さんで「ここいいよ」と声をかけてもらって、僕も同じグループに入ったこともあります。店舗は違うんですけどね。で、また彼が辞めて、僕も辞めて。そんなのが10年ぐらい続きました。
Shizuku編集部
お店が変わっても、辞めても、また合流する。それを10年近くですか。
なかむら
最後は共同経営ということで、二人でラーメン屋さんを立ち上げたんです。共同経営といっても社長は一人しかなれないので、彼が社長で、僕は従業員として働かせてもらっていました。
なかむら
でも、そこも結局うまくいかなくて。彼が「ラーメン屋辞めるわ」となったとき、借金をめちゃくちゃ背負っていたんです。それで「女性向けの風俗があるらしいから行ってくるわ」と、秘密基地に行った。僕はそれを見送った側、女房役でした。
Shizuku編集部
女房役として見送ったあとも、一条さんとのやり取りは続いていたんですか?
なかむら
彼が秘密基地に入ってからも、ずっと密に連絡を取っていました。新人期間がどうだとか、予約が何件入ったとか、リピートさんが帰ってこないとか、帰ってき始めたとか。すごく小刻みに話を聞かせてもらっていたんです。
Shizuku編集部
なるほど……結構濃いですね。
なかむら
どこまで大っぴらに言っていいかなって最初はあったんで、なかなか言えなかったんですけど。いまはいろんなセカンドブランドさんもそういう話をバンバンしているレベルなので、僕ももう本店での話をしてもいいかなと思って。

見送る側だったなかむら店長は、やがて自分も同じ世界へ足を踏み入れることになります。ただし、一度は誘いを断っていました。

一度は断った誘いを、「ここで恩を返せる」と受けた理由

Shizuku編集部
最初は誘われても断っていたわけですよね。そこから気持ちが変わったのは、一条さんの代表になる覚悟に惹かれたからですか。
なかむら
彼が店長になったタイミングで、一回声をかけてもらったんです。「秘密基地やらない?」って。そのときは「まあまあまあ」と言いながらお断りしました。
なかむら
それから少しして「俺、代表になるわ。代表になるから、そろそろ考えない?」と言われたんです。そのとき、今までと違う熱量を受けて。こういう業界って、誰も信じられないじゃないですか。そんな中で、今まで付き合ってきた「なかむらだから、一緒にやろうよ」と声をかけてもらった。そう見てもらっていたのが嬉しくて、覚悟を受け止めた上で「ぜひやらせてください」と。最後は男気ですね。
Shizuku編集部
同じ男性として惹かれる話です。
なかむら
で、はじめさんをそこまで僕が尊敬するようになったきっかけっていうのが。
Shizuku編集部
めっちゃ聞きたいです。
なかむら
女風に行く前、二人でやっていたラーメン屋さんのときの話です。社長のはじめさんと僕は同じ給料だったんですけど、借金をしているので給料が出なくなるじゃないですか。そうなったとき、はじめさんは僕には「ちゃんと給料払うわ」と、満額払ってくれたんです。
なかむら
でも彼自身は借金を背負っているから、ご飯は賄いだったり、たまにスーパーで買ったもので飢えをしのいだりする生活をしていて。普通は痛み分けになるのが当然だと思うんですよ。それなのに、自分は貧しくても相手にはちゃんと払う。そこに感銘を受けて、この人についていこうと、そのとき思ったんです。
Shizuku編集部
自分は賄いで食いつなぎながら、相手には満額。そこで「ついていこう」と。
なかむら
だから秘密基地の代表になるときに声をかけられて、ここで恩を返せるとも思いました。男同士の筋とか男気とか、僕はそういう時代の人間でもあるので。
Shizuku編集部
いい話ですね。素直に、すごく素敵だなと思いました。

こうして飲食の世界から女風へ。ところが、最初の壁は思いもよらないところにありました。

「Aってどこだろう」から始まった女風の内勤

Shizuku編集部
飲食から風俗業へ、しかも代表の知り合いとしての入店です。苦労したことや、周りからの見られ方はどうでしたか。
なかむら
あとから聞いた話なんですけど、「社長の知り合いが来る」というので、皆さんちょっと遠巻きに見ていたみたいです。とんでもない人が来るんだろうな、みたいな期待もされていて。
なかむら
でも僕はラーメン屋という全くの畑違いから来ていて、パソコンも使えない状態でした。作業は全部パソコンなのに、まずキーボードの打ち方がわからない。「Aってどこだろう」とずっと探して、「これだ」みたいな感じでやっていたので、スタートラインに立つまでがめちゃくちゃ時間がかかりました。
Shizuku編集部
キーボードの「A」を探すところからとは、想像以上のゼロからですね。
なかむら
そこにずっと教育で付いてくれた人がいて。僕が逆の立場だったら「お前いい加減覚えてこいよ、キーボード家で買って練習してこいよ」っていうレベルなのに、見放さずに、一回も怒らずに、ずっと支えてくれた。それが、うちの副店長のナシコなんです。
Shizuku編集部
あ、そうなんですね。ナシコさんのほうが先にいらっしゃったんですか?
なかむら
そうなんです。それは彼女のインタビューのときにもっと掘り下げてほしいんですけど、僕はゼロからの入社で、彼女に全部教わった。大先輩なんですよ。夜は夜で他の人にも少し教わりましたけど、メインは昼間。8時間ぐらい、毎日マンツーマンで、週5、6日見てもらっていました。
Shizuku編集部
週5、6日、毎日8時間のマンツーマン。みっちり鍛えられたわけですね。
なかむら
電話対応もめちゃくちゃ難しかったんです。僕はもともとコミュニケーション能力はある方だと思っていたんですけど、業者さんに対する電話と、風俗を使うのが怖い、わからないという女性へのヒアリングは、全然別物なので。
なかむら
彼女の電話のやり方と、僕がもともと持っているちょっとふざけたりするところが噛み合って、めちゃくちゃ勉強させてもらいました。いまでは業界トップレベルの電話スキルだと思っているんですけど、そこに至ったのは、彼女が僕の遺伝子を全部つくってくれたからです。
Shizuku編集部
「遺伝子をつくってくれた」とまで言える先輩なんですね。一方で、社長の知り合いという立場は、周りからどう見られていましたか?
なかむら
やっぱり色眼鏡では見られていました。使えないなと思われても、社長の知り合いだから言えない、みたいな。あとからそう聞いて、まあそうですよねって。僕も逆だったらそう思いますもん。目の上のこぶじゃないけど、使えないくせにな、って。

内勤を2、3か月こなしたあと、なかむら店長に任されたのは、一店舗分の受付に匹敵する仕事でした。

携帯1台で、月100件のモニター予約を受けた2年間

なかむら
そのあとはモニターの担当をやらせてもらいました。女風業界って、講習を受けてからモニターをやってデビューするじゃないですか。秘密基地の本店ともなると、モニターの数がとてつもなく多いんです。
Shizuku編集部
どのくらいさばいていたんですか?
なかむら
それこそ1か月で20人とかデビューするので、一人に対して最低3回はモニターを組むと……。
Shizuku編集部
そっか、60人とか。
なかむら
そうです。予約でいうと60件。多いときは100件ぐらい組んでいたと思います。100件の予約って、グループの中のあまり売れていない店舗さんをはるかにしのぐぐらいなんですよ。自分の携帯一台で、一店舗の受付を全部やっているようなイメージです。
なかむら
モニターは全部携帯でやっていたので、携帯は基本的に24時間持つようにしていました。今思うとハードでしたけど、それで内勤力を磨けたと思っています。モニターを丸々2年間持たせてもらったので、お店の受付のやり方も把握できました。
Shizuku編集部
携帯1台で24時間を、丸々2年。受付の仕事をまるごと体で覚えた形ですね。

女風の「モニター」とは

なかむら店長の説明によると、一般的なモニターは、女性のお客様がホテル代を負担することで、デビュー前の新人セラピストの施術を90分無料で体験できるしくみです。新人は講習を受けたあと、モニターを経てデビューします。これとは別に、報酬を受け取ってセラピストの教育を担う「プロのモニター」という方々もいて、なかむら店長によればこのしくみは3040でも引き継がれています。

なかむら
ちょっと脱線すると、プロのモニターさんにはギャラ、報酬をお支払いして、ちゃんと教育してもらうんです。そうすると、採点する側のブレがなくなる。あとは、そういう方々に僕が直接お会いして挨拶して、人間としての距離を深めていくところもありました。変な話、僕じゃなかったらそこまで関係はつくれていなかったんじゃないかなと。そこは入れておいてもらえると嬉しいです(笑)。
Shizuku編集部
モニターの方の囲い込み、みたいな。
なかむら
そうですね。プロとして報酬を受け取るモニターさんでも、風俗店でお金をもらって何をされるの?という怖さはあるんですよね。そこにもちゃんと向き合って説明しました。そうしたら「なかむらのファン」みたいな人もちょっとできてきて。
Shizuku編集部
モニターさんにまでファンができるとは。モニター以外では、どんなことを任されていたんですか?
なかむら
あとは新人の教育です。デビューしたばかりの子たちは、どうやったらいいか全くわからないので、売上が100万円ぐらいのレベルになるまでは教育担当もやらせてもらっていました。外から知らない人が来たらちゃんと挨拶しろとか、待機場でぼーっとしているなら配信をやれ、Xを上げろとか。
なかむら
ただ、最大のネックは、僕にセラピスト経験がないことなんです。
Shizuku編集部
なるほど。確かに。
なかむら
講習をやったことも見たこともないし、モニターテストを受けたこともない。だから教えられるのは、コミュニケーションや礼儀、あとはどうやったら売れるか。当時のTwitterでどう発信するか、売れている先輩のやり方を徹底的に真似しろ、という当たり前の基礎です。
なかむら
それに加えて、はじめさんがみんなに教えていることをかいつまんで、自分の中でプログラムにして話していました。あたかも自分がそうだったというぐらいの熱量で話すと、それが僕の経験みたいになるんです。そういう教育で伸びていった子が多いかなと思います。
Shizuku編集部
一条さんのマインドや経験を自分に憑依させて、なかむらさんのトークに乗せて広げていった、と。
なかむら
そうですね。社長って0から1をつくるのが得意じゃないですか。僕は自分で「一生副店長」と言っていたぐらい0から1が苦手なんですけど、1から8とか1から9ぐらいがめちゃくちゃ得意なんです。できあがっているレシピを、どう味変したら美味しくなるかとか。
なかむら
あとから修正するのが得意なので、ベースになるものをちゃんと見ていないと修正ってできないじゃないですか。だから、はじめさんのマインドを自分のベースに下ろしていったら、それができた。もともとの得意をこの仕事に組み込めたので、面白かったですね。
Shizuku編集部
秘密基地時代を通すと、数千人規模でさばいている計算ですよね。
なかむら
そうですね。リピートさんもいらっしゃるので「件」と「名」は同じではないんですけど、数千件はザラにやりました。あとは新人の内勤さんの面接や、内勤さん側のちょっとした新人教育にも関わらせてもらっていました。

秘密基地での2年間でなかむら店長が担った仕事

  • 内勤(受付)。人がいない夜中は自ら内勤に入るオールラウンド
  • モニター担当。月60件、多いときは100件ほどの予約を自分の携帯で受けた
  • プロのモニターさんとの調整や、直接の挨拶
  • 新人セラピストの教育担当。売上100万円ほどのレベルになるまで、礼儀と発信を指導
  • 新人内勤の面接と教育。本人いわく「総務みたいなポジション」

そして、はじめさんが独立して3040を立ち上げることになります。なかむら店長もついていきました。待っていたのは、鳴らない電話でした。

「携帯壊れてんのかな」電話が3日鳴らなかった3040の始まり

なかむら
僕ははじめさんについて秘密基地に入っていたので、はじめさんが行くなら僕もついていく、という感じで。円満退社です。
Shizuku編集部
3040では、一条さんとどんな役割分担だったんですか?
なかむら
逆に、これがそんなになくて(笑)。はじめさんが代表で、「なかむらさん店長よろしくね」という感じでした。僕はパソコンが例によって全然使えないので、2年やっても基本操作しかできない。バナー作りや画像の加工、宣材写真の撮影は、はじめさんがやって。
なかむら
僕にできるのは内勤でした。当時、オープンしてから1年半から2年ぐらいは朝の11時から夜中の4時までが営業時間だったんですけど、最初の3か月ぐらいは、それを基本的に僕が全部持っていました。
Shizuku編集部
すごいですね。体力お化けじゃないですか。
なかむら
いやもう、受付中は携帯を持って鳴るまで寝ていて、鳴ったら起きて対応する。ずっとそれをやっていました。今でも小さな店舗さんで24時間受付をやっているところは、きっとそうだと思います。
なかむら
しかもオープンしてからは、全然問い合わせが来なかったんです。月の売上もまだ数百万円程度で。電話が3日間鳴らない日も全然ありました。
Shizuku編集部
秘密基地で月100件をさばいていた人が、今度は鳴らない電話の前に。落差が大きいですね。

携帯壊れてんのかなって言って、自分の携帯からお店に電話かけて繋がったわみたいなこととかやるぐらい本当に暇だったんですが。

なかむら店長
なかむら
3、4か月ぐらいして、ナシコがうちに来てくれたんです。そこから内勤の体制がどんどん広がっていきました。
ただ、当時の僕の店長というのは肩書きだけでした。はじめさんが立ち上げた店で、はじめさんがみんなに教える。代表は秘密基地の元代表、僕は店長だけどセラピスト経験がない。まだ10人ぐらいのときは、みんなはじめさんについていくんです。僕はただの内勤で、店長、みたいなところでした。

肩書きだけの店長。その立ち位置を変えるきっかけは、意外にも「食べること」でした。

なかむら
転換期が一つあって。僕、見ての通り結構太っているんですけど、基本的にずっと何かを食べているんですよ。それを見たはじめさんが「普通に食べてるんだったら、店長っていうキャラクターを立ち上げて、デブ活をいっぱいポストしたら?」と言ってくれて、Xで店長としてのアカウントができました。
Shizuku編集部
僕が初めてなかむらさんを知ったのも、それでした。面白いキャラの人がいるな、本当に店長さんなのかな、って。
なかむら
まさにそうでした(笑)。デブ活をずっとポストしていたら、ファンの方が「店長ですか?」と認知してくださったり、お店に差し入れをくださる方もすごく多くて。いただいた差し入れをポストすると喜んでくださるので、また差し入れしたくなる、みたいな。お店とお客様ではあるけれど、すごくいい関係で。そのアカウントも、もう3年ちょっと続けています。いまは僕も予約に結構行かせてもらっていて。
Shizuku編集部
予約に行くということは、プレイヤーを兼務されているんですか?
なかむら
店長コースというのがありまして。性感は一切なしで、お食事だったり、相談だったり、普通にデートだったり、ということのみでやらせてもらっています。料金はちょうど先月改定したばかりです。いつも「こんなの呼ぶんだったら、セラピストを呼んであげてよ」と言っているんですけどね(笑)。
Shizuku編集部
それがいいんじゃないですか。その距離感というか。他のセラピストには言えないポジションですし。
なかむら
そこが需要の一つなんです。いま入っているセラピストの悪口は言えない、でもクレームというほどでもない、ちょっとした不満がある。そういうときに店長に直接会って話したい、という方。あとは、僕のこのキャラが好きだから、会ってめちゃくちゃ食べさせたい、という方もいます。
なかむら
一回会ってみると、セラピストよりエスコートが素敵だから、もうセラピストはいいわとなって、僕だけになる方もちょこっといらっしゃったりして。これはもう自慢です。はい、めちゃくちゃ自慢です。
Shizuku編集部
ちょっと油断すると自慢がぶち込まれてくるっていう(笑)。
なかむら
そうなんです。ちょっと気持ちよくなっちゃったんで(笑)。
Shizuku編集部
いまXには、もう一つ「ピンク店長」という人格もいらっしゃいますよね。あの誕生秘話は?
なかむら
えーと、これですね(と、ピンクのお面を取り出す)。
Shizuku編集部
何ですかそれは(笑)。
なかむら
これがピンク店長なんです。はじめさんが少しずつ女風業界から離れて、自分で01CLASSを始めたりして、いつまでも自分が女風業界に携わっているわけじゃないとなったときに、「はじめさんが抜けたら、そのあとどうするの?」というところから「なかむらはもっとメディアに出ろ」となったんです。
Shizuku編集部
一条さんが抜けたあとを見据えて、なかむらさんが表に出る役回りに。
なかむら
でも僕は顔出しNGなので。じゃあピンクのお面でもかぶったらいいじゃん、ピンク店長ね、というはじめさんの一声で、全部いまだに続いています。運営陣は顔出しが当たり前みたいな中で、顔を出せない分の代わりを、はじめさんがちゃんと用意してくれた。ピンク店長のおかげで顔を出さずに済むのが、僕にとっては一番大きいんです。
なかむら
はじめさんには「女風業界で一番有名な店長になれ」と言われていて、まだ有名な店長さんには圧倒的に負けているんですけど。賛否が湧くのって、めちゃくちゃいいことなんですよ。否があるということは否の人にも認知されているので、きっかけがあれば賛に変わってくれる。
Shizuku編集部
嫌われることも、知ってもらえている証拠だと。
なかむら
僕はこういう性格なので、人に嫌われたくないという気持ちが正直結構強かったんです。でも嫌われたくない動きしかしないと、賛否どころか渦が発生しない。目立つにはそれが一番だと、この前ほかのお店の代表の方に教わって、最近はちょっとアグレッシブに動いてみているところです。

冗談を連発していたなかむら店長ですが、話題がお客様との電話に移ると、口ぶりが少し変わりました。

「太ってておばさんなんですけど」その一言の奥にある本音を聞く

Shizuku編集部
店長さんは、お客様全員の入り口、窓口ですよね。いい意味でも悪い意味でも、印象に残っているお客様はいますか。
なかむら
いい方には、いい方の層があるんです。皆さん同じようなマインドでいらっしゃるので、一つのエピソードというより共通していることがあって。「私、太ってておばさんなんですけど、大丈夫ですか?」と、めちゃくちゃ聞かれるんです。必ずと言っていいくらい。
Shizuku編集部
電話の第一声が、その確認なんですか。
なかむら
逆に「私20代で綺麗なんだけど」というお客さんは、電話ではいないんですよ。それぐらい不安を持って問い合わせてくださる。その方が、こちらの「大丈夫ですよ」で安心して利用できて、最後に「最初に電話をかけたとき、なかむらさんで良かったです」と言ってくださったり、「3040のセラピストさんも内勤さんも素敵な方だった」とわざわざ発信してくださったりする。それが本当に嬉しいんです。
なかむら
だからこそ、そういう方にはちゃんと満足してもらいたい。うちのセラピストも、新人さんを含めて全員が全員いいセラピストだと100%言い切れるわけではまだないので、その方に合う正しいセラピストを案内しなきゃいけない。それが内勤の仕事だと思っていますし、そこが噛み合ったときがめちゃくちゃ嬉しくて、やりがいになります。もう、女性が好きです。
Shizuku編集部
なかむらさん、最後のは聞いてないです(笑)。
なかむら
聞いてない? あら。でも一応、大事なことは何回も言わないといけないので。
Shizuku編集部
僕、わりと一回聞いたら理解できるタイプなので。女性が好き、ということですよね。
なかむら
はい。生きとし生ける女性が好きです(笑)。

性に対してね、前向きになれない方が勇気を出して電話をくださったんだったら、その方にちゃんとしたセラピストをアテンドしなきゃいけないですし。

なかむら店長
Shizuku編集部
正直に言うと、僕はどちらかというと「女心とは何ぞや」というタイプなんです。「優しいね」で終わるタイプで。電話を受けて誰かを紹介するなんて、全くイメージがわかないんですよ。
なかむら
ああ、はいはいはい(笑)。もう早く決めろよ、みたいなね。
Shizuku編集部
女性の気持ちもよくわからない上に、電話越しとなるともうカオスで。なかむらさんは、なぜそれができるんでしょう。
なかむら
根本的になぜか、という話ですよね。まず、僕は小さいころから結構厳しい親のもとで育ってきているので、人の顔色をうかがわないと生きていけなかったんです。今は機嫌がいいか悪いか、声の質はどうか。親が連れてくる大人にも怖い人が多かったので、大人の顔色を見るのがめちゃくちゃ得意なまま育ちました。
Shizuku編集部
顔色や声の質を読む力は、小さいころから鍛えられてきたもの、と。
なかむら
それに加えて、僕は自分のことを女性脳だと思っているんです。相手の様子を見るのに慣れていることと、女性脳であることが全部噛み合ったときに、相手の女性が何を求めているのかが結構わかる。相手の立場になって考えることが、めちゃくちゃ得意なんです。
なかむら
「私おばちゃんだから」と言っている方って、とっとと使おうぜじゃなくて、本当に勇気を出してもらっているじゃないですか。その方が「年齢の近い人がいいです」と言ったとして、本当に年齢の近い人がいいのか。それとも自分をおばちゃんだと思っているから、若い男の子だと引かれてしまうんじゃないかと思っているのか。そういう心理を、僕の中でいくつか仮定するんです。
Shizuku編集部
なるほど。
なかむら
そこから一個ずつ紐解いていきます。「同い年ぐらいがいいというお話でしたけど、見た目で年下が好きとかないですか?」「できれば若い子がいいんだけど、でも私おばちゃんだから」「おばちゃんって言うけど、おいくつですか? 50歳なんてまだガキンチョでしょ」みたいな(笑)。
なかむら
こんなやり取りをしていると、相手の方も気さくなお兄ちゃんだな、という感じで打ち解けてくれて、そこで本当の本音が聞けるんです。本当は若い子が良かった、お話が得意な人がいい、できれば身長はこれぐらい。そこまで出てくれば、「だったらこの子がいますよ」となる。その方程式を導き出すのが得意なのかもしれないです。
Shizuku編集部
そこらへんのナンパ術より、全然ためになりますね。
なかむら
ナンパだと自分のためになっちゃうんで(笑)。これもきれいごとかもしれないですけど、お店としてお金を稼がなきゃいけないのは大前提です。ただ、ぼったくりたくはない。目先の一件を取るためにイベント期間中なのに案内しなかった、なんていうより、女性が何も言っていなくても「今イベントをやっているので、よかったらこちらになりますよ」と提案して、いいお店だと思ってもらったほうがいい。
Shizuku編集部
聞かれていなくてもイベントを案内する。目先の一件より、お店ごと好きになってもらうほうを取るわけですね。
なかむら
セラピストだけが好きだと、そのセラピストが辞めたら縁も切れてしまうじゃないですか。お店が好きな上でセラピストが好きなら、この子が辞めちゃったなら別のセラピストさんに、となる。それに、うちで出会って入ってきた以上、セラピストの男の子にもちゃんと稼いでもらわないといけない。
なかむら
受付で予約を取るのは僕らですけど、直接お会いしてお金をいただくのは彼らです。立場上、彼らにはタメ口でバーッと言ったりもしますけど、結局彼らがいないと僕らは成り立たない。その感謝の気持ちは忘れちゃいけないと思っています。お客様と、セラピストと、お店の「三方よし」を心がけてきた結果が、今につながっているのかなと思います。
Shizuku編集部
僕も人の表情は気にするほうなんですが、本音を引き出すとなると、途中でめんどくさくなってしまいそうで。なかむらさんは、その方程式の解き方がとにかく上手なんだと思います。
なかむら
めんどくさくなる部分は、仕事だからという割り切り方も一つできますよね。あとは個人的な話なんですけど、僕は人の死に向き合うことが普通の人より多くて、身近な人を見送ることも重なってきたんです。もともとはすごくネガティブで、陰気な性格でした。でも20歳のころ、はじめさんと出会う少し前に、頭の中がガラッと変わって。だったら今を楽しく生きなきゃ、常に全力で生きなきゃ、と。
なかむら
大変な日も、一日ご飯を食べられなかった日もあるけど、それは次の日に美味しいものを食べるための糧にする。とにかくポジティブに、と生きていたら、エンターテイナーになっていました。MBTIもエンターテイナーなんです。
Shizuku編集部
MBTIまでエンターテイナーとは。色でいえば真っ黄色のタイプですね。
なかむら
そうなると、人が笑っている姿を見たい。誰かを蹴落とさない笑いを取れるようになりたいと思うようになりました。人って笑うと心が開くから、ちょっとでも本音で話せるようになるんですよね。それでも本当のことを言わない人もいますけど、声色や、さっきまでの話し方と急に変わったところから、少しずつ引き出せるようになりました。人と関わること自体が好きで、すごく寂しがり屋なんですよ。
Shizuku編集部
ちょっと黙っておけば、もっといっぱい話してくれるかなと思っている僕がいました(笑)。
なかむら
(笑)。根本的に女性が好きなので、女性がいっぱい話をしてくれるのは、僕からしたらご褒美なんですよね。そこが、たぶん一番の違いなのかもしれないです。

女性のことを話すときに見せる熱量。その原点には、はじめさんの存在と、女風という仕事への思い入れがありました。

「はじめさんの背中を追っかけてる自分が好き」最強の二番手でいたい

Shizuku編集部
一条さんが女風業界を離れて、教育の仕事に進まれました。一条さんがきっかけで業界に入ったなかむらさんが、一人で進んでいくことになった。心境の変化はありましたか。
なかむら
そこは裏話になるんですけど、はじめさんが01CLASSを立ち上げたとき、僕も一緒にやっていたんです。だから3040の店長という位置にいながら、一時期あまり3040に関わっていなかった。01CLASSで、一般男性への営業電話や、こういう内容でいくらのものがありますよ、という営業をずっとやっていました。
なかむら
いわば女風じゃないほうを普通に本気でやっていた時期があったので、僕が3040に戻ったときには、はじめさんがいないだけ、という変な関係でもあったんです。それに、はじめさんが女風からいなくなっても、僕からするとぶっちゃけ、はじめさんがいないわけではない。絡む機会は全然ありますし、全く会わないわけでもない。はじめさんが「やれ」と言ってくれているところを、やらせてもらっているだけなんです。
Shizuku編集部
業界を離れても、一条さんとの距離は変わらないんですね。なかむらさん自身は、女風という仕事にどんな思いがありますか?
なかむら
自分自身にも、女風への思い入れがあります。きれいごとかもしれないですけど、僕は根本の発想として、女尊男卑がすごく強いんです。女性を物扱いするとか、女性を守るための力なのに女性に変なことをするような男が多くて、そういうのを見てきて正直うんざりしていて。
なかむら
女性が好きだという気持ちは昔からめちゃくちゃ強いんです。女性がいるから、お母さんがいるから自分がいるわけで、お母さんに育ててもらったから僕ら男性もいる。そこに感謝できないやつはダメだと思っています。
Shizuku編集部
ちゃんと適性あるじゃないですか(笑)。
なかむら
そうなんです。だから女性用風俗は向いているなと思いました。好きなものに関われる仕事ですし、飲食店のときからずっと、お客様の喜ぶ顔が見たいというのは嘘偽りのない気持ちなんです。僕は女性が笑う顔が好きなので、その手助けをする側になれたら嬉しい。店長コースで、直接お金をいただいて直接それを提供できることの素晴らしさも知ってしまったので、自分のコースも好きなんですよね。
なかむら
すみません、話を戻すと(笑)。はじめさんのDNAを受け継いで、さっきの0から1と1から9じゃないですけど、ここからさらに加速させていけたら、それがはじめさんへの恩返しの一つかなと思っています。はじめさんも女風が嫌いになったわけではなくて、女風業界には恩があると言っている。僕らがこのお店を伸ばすことで、その恩返しの手助けになれたらいい。それが僕のモチベーションです。
Shizuku編集部
めちゃくちゃ理解しました。
なかむら
舎弟気質なんで。はじめさんみたいなボスがいないと、僕ダメなんですよ。
Shizuku編集部
わかります。僕も「この人のこういうところ素敵だな」と、憧れの対象を持ちやすいタイプなので。
なかむら
ありますよね。別に僕は、はじめさんと並びたいとかではないんです。

ハジメさんの背中を追っかけてる自分が好きなんです。

なかむら店長
Shizuku編集部
めちゃめちゃ素敵ですね。最強の二番手、という感じがします。
なかむら
そう言ってもらえると本当に嬉しいです。最強の二番手でいたい。だから店長というポジションはおかしいんですけど、店長をやっている理由もちゃんとあるんです。
なかむら
僕は、ナシコ副店長が店長でもめちゃくちゃいいと思っています。年齢や見た目は全然関係なく、彼女は僕の先輩なので。ただこの業界は、何かで叩かれたり燃えたりしたとき、矢面に立つのが店長なんです。結局、店長が一番割を食う。だったら彼女は副店長で、僕が守らせてほしいと思ったんです。本人がいま近くにいるので、ちょっと恥ずかしいんですけど。
Shizuku編集部
そのお話は、今度ナシコさんのインタビューで本人からも引き出してみたいですね。
なかむら
その時、僕は帰ります。恥ずかしいんで(笑)。

守る側に回ると決めた店長は、これからお店に加わる人に何を求めているのか。最後に、伸びるセラピストと採用について聞きました。

「何したらいいですか」ではなく「こういうのどうですか」と言える人

Shizuku編集部
これまでたくさんのセラピストを見てこられたと思います。「こいつは伸びる」と感じたのは、どんな人でしたか。
なかむら
社長脳ですね。はじめさんみたいな、ゼロからやれる人。うちで今売れているナンバーワンのいつきがいるんですけど、彼はうちに入ってきたとき47歳とかだったかな。業界では結構おじさんなんです。
Shizuku編集部
業界では年上のほうからのスタート。そこからナンバーワンまで、どうやって?
なかむら
でも彼が売れるようになった道のりを見ると、自分の何がダメなのか、誰が売れているのかを、こちらが言わなくても自分で読み解いていったんです。当時、自分と雰囲気が似ている同い年ぐらいの、顔の濃い先輩をロールモデルに決めて、「いろいろ絡ませてください」と自分から声をかけに行っていました。
なかむら
その先輩との配信で、先輩を盛り立てる企画をやって。「先輩を盛り立てる俺を見てくれ」っていう、純粋なよこしまさというか。
Shizuku編集部
美味しいですよね(笑)。
なかむら
そうです(笑)。そういうのを自分で立案するんです。忘年会ではじめさんがいるタイミングに、わざわざ「新年度の企画で、代表に話を聞く配信をやらせてください」とお願いしに行ったり。明日からラーメン屋をやりたいからいろいろ作って、と言われたら全部やれる人じゃないですか。初月からバーッと芽が出るのは、みんなそういうタイプですね。
なかむら
「何をしたらいいですか?」じゃなくて「こういうのはどうですか?」と、ちゃんと自分で企画を持ってこられる人は、こっちが少し修正したら、それ以上の成果を出して持ってくる。「何をしたらいいかわからないです」とぼーっとしている人は、こちらがアドバイスしてもやってこないんです。想像力が豊かなんでしょうね、きっと。
Shizuku編集部
言われる前に、自分から企画を持っていける人。ほかにも印象に残っている人はいますか?
なかむら
秘密基地の本店時代にも、僕が新人に説明をしていたころ、後にも先にも彼ぐらいだろうという行動力の新人がいました。「Xのポストを1日30件やれ」と言ったら、本当に30件やってきた。逆にこいつ大丈夫かっていうぐらい(笑)。いい方向にも悪い方向にも突き進む、猪突猛進型です。ああいう人は、さっき言った賛否が生まれるので、最後には売れますよね。
Shizuku編集部
3040に興味を持ってくれた人、セラピストでも内勤スタッフでも、どんな人に来てほしいですか。こういう人ならバックアップできる、というのはありますか。
なかむら
ほんとにありきたりですけど、まずはやる気ですね。ただ、一言でやる気と言ってもいろいろあって。自分はモテてきたから稼げるぜ、みたいな人はいらない。かといって「女性を癒したいです」というだけの人もいらないんです。癒したいって、所詮は建前なので。
Shizuku編集部
まあ、確かに。
なかむら
下心を持っていて当然ですし、それは全然いいんです。僕が言うやる気は、本気でセラピストという仕事を考えてきてくれること。面白そう、でもいいんです。ただ、面接で結構ひどい子は、ホームページも見てこないんですよ。
Shizuku編集部
えー。
なかむら
これから働こうとしているところのホームページも何も知らないで来る。そういうレベルだと、見た目が良くても難しいです。この仕事がわからないのは当然です。でも、ちゃんと下調べをした上で、自分がここでやっていけるかどうかに挑戦する、という意味で来てほしい。
なかむら
多いのが「女風やってみたい。自分は45歳だから3040だ」という、選択肢の一つとしてだけ来る人です。そうじゃなくて、女風ってこういうところなんだ、性感マッサージをするところなんだ、やってみたいな、自分ができるところはどこだろう、40代だからこのお店がいいな、という気持ちで来てほしい。ちゃんと調べた上で本気で来た人は、面接していても熱量が全然違うんです。
Shizuku編集部
「選択肢の一つ」で来る人と、調べ抜いて来る人。面接の空気から違うと。
なかむら
本気の思いで来てくれる人は、僕は大好きです。見た目なんか後から変えられますけど、人をだまそうとするとか、よこしまな人は、やっぱり治らないので。だから、実直な人間がやっぱり好きですね。

勇気を出してかける一本の電話の先で

「全員が全員いいセラピストだと、まだ100%言い切れるわけではない」。なかむら店長は、新人を抱えるお店の現状も隠さずに話してくれました。だからこそ、受付で不安の奥にある本当の希望を聞き取り、その人に合う一人につなぐ。それが内勤の仕事だというのが、店長の考え方です。

そのやり方の土台には、キーボードの「A」を探していたころにナシコ副店長から一つずつ教わった電話と、秘密基地で数千件の予約を受けてきた経験があります。「太ってておばさんなんですけど」と口にするのをためらっている方こそ、その一言から相談してみてください。

Q体型や年齢に自信がなくても、利用していいのでしょうか
A

なかむら店長によると「太ってておばさんなんですけど、大丈夫ですか?」という相談は電話でとても多く、受付では「大丈夫ですよ」と受け止めた上で、希望を聞いていくそうです。

Q電話では、どんなことを聞かれますか
A

年齢の希望だけでなく、見た目の好み、話し方、身長などを一つずつ確認しながら、合うセラピストを案内しているそうです。うまく言葉にできない希望も、やり取りの中で一緒に整理してくれます。

Qセラピストへのちょっとした不満は、誰に相談すればいいですか
A

クレームというほどではない小さな不満を、店長に直接話したいという方もいるそうです。店長コース(性感なし、食事や相談、デートのみ)で直接会って話す方もいます。料金は取材時点の直近に改定されたため、最新の内容は公式サイトで確認してください。

Qクレジットカードで支払えますか
A

取材では、クレジットカードに対応していると話していました。決済したあとに名義を伝え、お店側で照合するしくみです。

Q自分でイベントを調べていないと損をしますか
A

なかむら店長は、聞かれていなくても開催中のイベントがあれば案内する方針だと話しています。気になる場合は予約の電話で聞いてみてください。

今後、なかむら店長にはShizukuの監修者として3040関連の記事に関わっていただく予定です。

※本記事は2026年10月22日の取材時点の内容です。料金・営業時間などの最新情報は3040の公式サイトでご確認ください。