華やかに見える女性用風俗の世界にも、経営の苦悩は確かに存在する。深夜2時、OASISグループの代表・青山翔輝と店長が開いた緊急ミーティングにカメラが入った。
新人セラピストのデビューが遅れ、モニター試験の合格率が落ち込み、講習員のモチベーションにも陰りが見え始めている。求人への応募は順調に入っているのに、デビューに至らない。
このままでは本当に立ち行かなくなるという危機感が、深夜の会議室に重い空気を落としていた。交わされた率直な対話からは、女風という業態が抱える構造的な課題と、それに正面から向き合う経営者のリアルな覚悟が浮かび上がってきた。
危機の核心——新人デビューの停滞が招く成長の失速
会議の冒頭から、青山翔輝の声には切迫感があった。最も深刻な問題として挙げたのは「新人セラピストのデビューが遅れている」という事実である。新人デビュー停滞の具体的な状況は以下のとおりだ。
- 目標:月に最低5人のデビューが必要
- 現状:撮影スケジュールの決定が後手に回り、モニター試験の準備にも想定以上の時間がかかっている
- 原因:代表が直接「最短でデビューを目指そう」と声をかけていた時期は順調だったが、その声かけが薄れて新人のペースが後ろ倒しに
- 構造的課題:求人は入っているのに、デビューに至る「母数」が増えない
店長はこの指摘を受けて、事業説明会を経ていない新人セラピストに対して即日で個別連絡を入れることを決めた。リーダーやエリアマネージャーとも連携し、一人ひとりの進捗状況を細かく確認する体制に切り替える方針が、その場で固まった。
講習員の「マンネリ化」——見えにくい組織の病巣
新人育成のボトルネックとして、もう一つ深刻な問題が浮上した。セラピストに技術を教える講師陣、のモチベーション低下である。青山翔輝は「講習が作業になっていないか」と鋭く問いかけた。
講習員になりたての頃は、役割への喜びや使命感があり、講習後にSNSで「今日教えた○○君はすごく良かった、楽しみだ」と発信するような熱量があった。しかし、講習を長く続けるうちに当初の情熱が薄れ、業務的にこなすだけの状態に陥っている可能性がある。青山翔輝は他店の例を引き合いに出し、「うちの講習員からはそうした発信が最近まったく見られない」と現状を直視した。
特に深刻なのは、講習員が自分の教え子のモニター試験結果を把握できていないという情報の断絶だ。教えた新人がその後どうなったかを知らなければ、自分の指導を改善するサイクルが回らない。「教えて終わり」ではなく、結果まで追いかけて検証する仕組みが必要だという結論に至り、講習員ミーティングをその日のうちに設定する行動が決まった。
この一つの施策だけでも、「自分の講習が結果を左右している」という当事者意識は大きく変わる。青山翔輝が即日でミーティングを組んだスピード感は、問題を放置しない経営者の姿勢として評価できる。
マネジメントの深層——「なぜ頑張るのか」を知らなければ始まらない
会議の後半は、セラピストの内面にどこまで踏み込むべきかというマネジメント論に移った。店長は、新人の表面的な悩み——DMの返し方が分からない、ツイキャスの配信方法が分からないなど——に対応するだけでは不十分だと自覚し始めていた。
青山翔輝が求めたのは、もっと深い層の理解だ。セラピストの多くは副業として女風に携わっている。本業との兼ね合い、経済的な事情、女風に対する本当の熱量。こうした「根底にあるもの」を把握しなければ、的確な助言もモチベーション管理もできない。借金を抱えて日々の生活が逼迫している人に「将来のランクアップ」を語っても響かない。まずは「明日の1件」に集中させ、そこから着実にリピーターを増やしていく道筋を示すべきだという考えだ。
店長はこの議論のなかで、あるビジネスメディアの動画で目にした「マネージャーは部下の幸福指数が何によって高まるかを知っていなければならない」という言葉に触れた。そして、自分がセラピストたちの「何をしているとき幸せなのか」「なぜ稼ぎたいのか」を把握できていないことを率直に認めた。この正直な内省が、今後のマネジメント改善の出発点になる。
面談室ではなく、気が抜けた瞬間にこそ人は本心を語る。この洞察は、マネジメントが「管理」ではなく「関係構築」であることを示しており、業種を問わず参考になる視点だ。
「200万が当たり前」の空気を作れるか——組織文化の分岐点
会議のもう一つの重要なテーマが、組織文化の方向性だった。セラピストのデビュー後3ヶ月間をどう過ごすかで、その後のキャリアは大きく分かれる。OASISグループではエスカレーター式の昇格制度を採用しており、デビュー前、デビュー3ヶ月、その先のリーダーへとステージが上がっていく仕組みになっている。
青山翔輝が強調したのは「売上200万円を当たり前と思える空気にするか、200万円はきついと感じる空気にするかで、店舗の成長は決定的に変わる」という点だ。同じ能力を持つセラピストでも、周囲が高い基準を当然のこととして共有している環境に置かれれば、自然と行動の水準が引き上げられる。逆に「まあこんなものか」という空気が蔓延すれば、組織全体が停滞する。
新人のコミュニケーション力を高めるために、飲食やイベントなど実際のデートに近い場面で先輩セラピストの接し方を間近に見られる機会を設ける案も出た。技術講習では学べない「人としての距離感の取り方」「会話の空気感の作り方」を、実体験を通じて吸収させるという狙いである。
OASISグループが直面しているのは、まさにこの組織文化のアップデートという局面である。
「3歩進んで2歩下がる」現実を受け入れる強さ
会議の終盤、店長は自己評価として「3歩進んで2歩下がって、ようやく1歩進んでいる感覚だ」と漏らした。やれたと思った部分に再び不足が見つかり、また戻ってやり直す。その繰り返しに焦りを感じていた。
青山翔輝はそれを否定しなかった。むしろ「少しずつ上がっていると信じているし、それは成長の証だ」と受け止めた。できたつもりになっていた部分に課題が見えるのは、視座が上がった証拠でもある。
自発的に行動できる人間は放っておいても結果を出す。しかし組織の大半はそうではない。だからこそ、一人ひとりの状況を理解し、適切なタイミングで適切な言葉をかけられる体制が必要になる。個人の能力に依存せず、仕組みとして「寄り添い」を実装する。深夜2時の会議で交わされたのは、まさにそうした組織づくりの根幹に関わる議論だった。
まとめ——深夜の会議が映し出す経営者の覚悟
本記事の要点を整理する。
- 新人デビューの停滞:月5人の目標に対し、声かけ不足でスケジュールが後ろ倒しに。即日で個別連絡を決定
- 講習員のマンネリ化:教えて終わりではなく、結果まで追いかけて検証する仕組みが必要。即日でミーティングを設定
- マネジメントの深度:表面的な悩みだけでなく、セラピストの「なぜ頑張るのか」という根底を理解すべき
- 組織文化の形成:「売上200万円を当たり前と思える空気」を作れるかが、店舗の成長を決定的に左右する
- 実行力:問題から目を逸らさず、その場で具体的な行動を決め、翌日から動き出す
華やかなサービスの裏側にある地道な経営努力こそが、OASISグループを支える本当の力なのだろう。
よくある質問
応募・面接を経て採用された後、複数回の技術講習とモニター試験をクリアすることでデビューとなる。積極的に取り組めば短期間での独り立ちも可能だが、個人差がある。
経験豊富なセラピストが新人に技術を教える役割を担う。OASISグループでは月に20回以上の講習を実施しており、講習員の質がセラピスト全体のレベルに直結する重要なポジションだ。
店長やリーダーが定期的に面談を実施し、業務上の課題だけでなく個人的な悩みやモチベーションにも寄り添う方針をとっている。一方的な指導ではなく双方向のコミュニケーションを重視している。
OASISグループのセラピストの7割が副業からスタートしている。本業との両立を前提にしたシフト設計が可能で、自分のペースで活動できる環境が整っている。



