2026年6月30日、新宿。女性用風俗、通称「女風」の経営者、店長、内勤スタッフ、ポータルサイト、弁護士、税理士、作家、漫画家。この業界に関わる人間だけが、300名を超えて一つの会場に集まりました。

第24回フーフェス「女風解体新書」。女風としては初めてのBtoBイベントで、参加できるのはアダルトビジネス事業者、関連業者、メディア関係者に限られます。Shizuku編集部はメディア枠として会場に入りました。

ただ、この記事で伝えたいのは会場の賑わいではありません。経営者同士が顔を合わせる場があること自体が、利用する女性と、そこで働くセラピストにとって意味を持つ。 主催側の言葉と当日の空気の両方から、それがはっきり見えた夜でした。

Ryo
Shizuku編集部のRyoです。今回は「会場レポ」ではなく、”経営者が集まる場があること”が、店選び・働く場所選びにどう効いてくるかに絞って読み解いていきます。
第24回フーフェス 女風解体新書 参加者の集合写真
この夜、会場に集まった登壇者・関係者(画像:フーフェス実行委員会提供・掲載許諾済み/プライバシー配慮のため一部加工)

数字で見る第24回フーフェス

項目内容
来場者数300名超(フーフェス過去最多)
協賛企業19社(過去最多件数)
参加女風店舗30店舗以上
登壇者12名
トークショー9本
開催日時2026年6月30日(火)17:00〜21:30
会場T2 SHINJUKU(東京都新宿区西新宿7-1-1 新宿カレイドビル7F)
チケット一般 5,800円(前売)/ 7,000円(当日)、VIP 11,000円(前売)/ 13,000円(当日)
主催フーフェス実行委員会
幹事FIRST CLASS 東京エスコートサービス
司会千太郎(アシスタント:なほ)

※来場者数は、開催前プレス情報では250名、開催後の幹事挨拶では「300名を超える過去最多」と表記されています。本記事は実数側の300名超を採用しています(実行委員会の確認事項)。女風に限定したBtoBイベントは、これが初めてです。

そもそもフーフェスとは

風俗事業者の勉強会

フーフェスは、風俗・アダルトビジネス事業者の勉強会として運営されています。2か月に1回、会場を変えながら、50名から数百名の規模で開催されてきました。起源は五反田の風俗事業者の飲み会だったと伝えられ、そこから業界横断の勉強会へ育ちました。

この女風回は、外部の主催者が持ち込んだものではありません。2025年6月に一参加者として会場に入った女風の現役経営者(オープンから8年を迎えるFIRST CLASS東京エスコートサービスのオーナー)が、1年の参加を経て幹事を務めるに至っています。

3つのコンセプト

  • HISTORY|知る … 女風の歴史を紐解く
  • STAGE|語る … 経営者・関係者が経験と考えを共有する
  • CONNECT|繋がる … 業界内外の人・企業・サービスと出会う

【現地メモ差し込み予定・執筆者記入欄】
会場の第一印象、来場者の顔ぶれ(経営者・内勤・ポータル・士業・作家等の幅)、名刺交換の熱量など、現地で見た「300名超という規模の実感」を、個人・店舗が特定できない形で追記します(取材ルール03:一般参加者への直接取材・撮影は禁止)。

経営者が集まる場は、相互監視でもある

幹事の挨拶文に、印象に残る一節がありました。要約すると、こうです。

同業者の集まりに出てくる経営者は、必ず「どんな考えで何をやっていて、結果はどうなのか」を他の経営者から問われる。だから、胸を張れないことをしている人は、そもそもその場に出てこられない。結果として、経営者が集まる場は業界内の相互監視として機能する。そしてそれは、安全にサービスを使いたい利用者と、安心して働きたいセラピストの双方にとってメリットになる、というものです。

公式サイトに「安心」「安全」「厳しい教育」と書くことは誰にでもできます。しかし、業界の他の経営者と同じ部屋に立って自分の運営を説明できるかどうかは、偽装できません。

店選びの判断材料として「その店の経営者が業界の場に出てきているか」は、公式サイトの謳い文句より確度が高い。 これが、この日会場にいて最も強く感じたことでした。

同じ観点で、女風解体新書のような業界向け(BtoB)のイベントやサイトに、その店や経営者が名前を出しているかを確認するのも、優良店を見分けるひとつの手がかりになります。利用者向けの綺麗な言葉ではなく、同業者の前でも通用する運営かどうかが表れるからです。

出典:第24回フーフェス「女風解体新書」公式サイト 幹事挨拶(要約。掲載時は出典明記のうえ、引用は短く1箇所に留めます)。

みお
たしかに…。サイトの「安心・安全」って言葉だけじゃ見分けられないもんね。「経営者が表に出てるか」って、言われてみると分かりやすい基準かも。

当日のタイムテーブル

時刻内容
17:00開場・交流タイム
17:50第1部|女風の近代史/話題の女風本 取材秘話/大手からの独立と夫婦経営
18:55第2部|業界の課題/ポータル特別対談/開示請求と匿名投稿
20:25第3部|税務調査対策/超大型店・FC運営/男風と女風の違い
21:30終了
第24回フーフェス タイムスケジュール
当日のタイムスケジュール(画像:フーフェス実行委員会 公式フライヤー・掲載許諾済み)

交流タイムが3回設けられている点が、このイベントの構造をよく表しています。セッションを聞くことと、人と会うことが同じ比重で設計されている。 登壇が9本ある一方で、その合間に必ず名刺交換の時間が確保されていました。

※各セッションの個別時刻は公式非公開のため、フライヤー記載のブロック開始時刻(17:50 / 18:55 / 20:25)に基づき整理しています。

トークショー9本のふりかえり

第1部|女風の歴史を紐解く

女風の近代史決定版〜激動の10年を振り返る〜(FIRST CLASS 朝倉オーナー/池袋秘密基地 八神オーナー/女風バー&アーメン 村上オーナー)では、女風がどう始まり、どう広がってきたかを、最初から業界を見てきた3人が一続きで振り返りました。選択肢が増えたことと、選ぶ側の判断が難しくなったことは、同じ事実の裏表です。

第24回フーフェス 女風の近代史セッション
「女風の近代史」セッションに登壇した経営者陣(女風バー&アーメン ほか)(画像:フーフェス実行委員会提供・掲載許諾済み/プライバシー配慮のため一部加工)

セッションで繰り返し語られたのが、業界コミュニティの重要性です。経営者や関係者が集まる交流会が定期的に開かれるようになり、コロナ禍を経て、経営者同士が相談し情報を共有できる場の意義が高まったことが共有されました。これは、本記事の主題である「経営者が顔を合わせる場の意味」とも重なります。

採用環境の変化にも触れられました。コロナ禍以降、副業や収入補填を目的とした応募者が増え、人材の流れや採用のあり方が変わってきているという指摘です。あわせて、大手からの独立と夫婦経営(santuario)など当事者の経営ストーリーも語られ、これからはマーケティングや経営力が店舗運営の質を左右するという論点が共有されました。

第24回フーフェス 大手からの独立と夫婦経営セッション
「大手からの独立と夫婦経営」セッション(santuario)(画像:フーフェス実行委員会提供・掲載許諾済み/プライバシー配慮のため一部加工)

また、書籍「女風に行ったら人生変わった」(大泉りか氏)については、ライターとして数々の取材を重ねてきた著者が、業界の内側からではなく、実際に女風を利用する女性たちにフォーカスして取材・執筆したという経緯が紹介されました。

第24回フーフェス 話題の女風本 取材秘話セッション
「話題の女風本『女風に行ったら人生変わった』取材秘話」セッション(大泉りか氏)(画像:フーフェス実行委員会提供・掲載許諾済み/プライバシー配慮のため一部加工)

※各セッションの内容は要旨です。現在の店舗数など具体的な数字は、出典を「第24回フーフェスでの発言」として明示します(数値は確認でき次第追記)。

第2部|業界構造とトラブル対応

今こそ女風業界のここを変えたい(Storyグループ 長月ちひろ代表/synapse 真琴代表)では、需要が高まる一方での飽和と質の低下をどう防ぐかが、新世代の経営者の視点で語られました。これは「経営者が集まる場は相互監視でもある」という論点と裏表の関係にあります。増えた店舗の質を担保する仕組みが業界内にあるかどうか、という問いです。

第24回フーフェス 今こそ女風業界のここを変えたいセッション
「今こそ女風業界のここを変えたい」セッション(画像:フーフェス実行委員会提供・掲載許諾済み/プライバシー配慮のため一部加工)

ポータルサイト特別対談(ぴゅあらば × Kissgram)では、女風の集客構造そのものが具体的に扱われました。登壇資料によれば、ぴゅあらばは女風ポータルとして上位の評価を掲げ(2026年5月・similarweb調べ)、2025年には「女風セラピスト総選挙」を開催したとしています。そのぴゅあらばが打ち出した新サービスが、女風特化型SNS「Kissgram」です。

Kissgramが解決しようとしている課題は、この日のセッションで最も具体的でした。女風のセラピストは集客の多くをX(旧Twitter)に依存しており、そのアカウントが凍結されればフォロワーごと顧客との接点を失います。 積み上げた指名客との連絡手段が、ある日突然なくなる。Kissgramはこの構造への回答として設計されています。

区分機能
基本機能(X同様の使い勝手)画像・動画投稿/トーク機能/専用マイページ/出勤登録
近日リリース予定サンプルボイス/音声配信ライブ/ギフト機能

この話は、セラピストとして働くことを考えている人に直接関係します。 集客基盤をどこに置くかは、働き方の安定性を左右する問題です。

関連して、SNSが店舗運営・集客に欠かせないツールになっている現状も語られました。投稿を事前に制作してストックし、計画的に配信する「作りだめ」といった運用の工夫も紹介され、集客をその場の勢いに頼らず設計する動きが広がっていることがうかがえました。

みお
Xが凍結されたら指名のお客さんと連絡取れなくなる…って、働く側からしたら結構こわい話だね。集客を1つに頼らない、って大事なんだ。

また開示請求・匿名投稿への対応(greedグループ オーナー/グラディアトル法律事務所 若林弁護士)のセッションも行われました。現在実際に進行中の開示請求を例に、具体的な解説がありました。ただし個別の事案に対する判断は法的助言と受け取られる可能性があるため、本記事では詳細な要旨の掲載は控えます。

第3部|経営・税務・大型店舗運営

税務調査対策(T-group税理士法人)のセッションでは、SNS投稿・口座の入出金・支払調書から所得が把握される仕組みと、女風のセラピストが実際に調査対象になっている現状が扱われました。本記事では、具体的な申告方法や経費の扱いは記載しません。 税務に関する個別の助言は税理士の業務であり、記事として解説すべき内容ではないためです(税理士法52条)。

ただし、事実として押さえておくべき点が一つあります。女風のセラピストは業務委託契約であることが一般的で、確定申告が必要になります。 この点を面接や入店時にきちんと説明できる店がある一方で、経営者側でも納税についての理解度が高くなかったり、扱いを曖昧にしている店もあります。制度として確定申告が必要であることは、働く側もあらかじめ知っておきたいところです。

超大型店・フランチャイズ運営(秘密基地グループ OASIS 青山翔輝社長/東京M性感 若僧店長)では、在籍100名以上の店舗運営の実際が語られました。100名規模を維持するには採用・教育・シフト管理・トラブル対応のすべてを仕組みとして持つ必要があり、小規模店とは運営の質が変わります。

第24回フーフェス 超大型店運営・フランチャイズ参入のリアルセッション
「在籍100名以上・超大型店運営/フランチャイズ参入のリアル」セッション(画像:フーフェス実行委員会提供・掲載許諾済み/プライバシー配慮のため一部加工)

この日の最後は男風と女風、両方やってみてここが違う(東京秘密基地本店 社長兼店長)。両方を経験した立場からの比較は、女風が男性向けの延長ではなく別物として設計されるべきだという主張につながりました。

第24回フーフェス 男風と女風の違いセッション
「男風と女風、両方やってみてここが違う」セッション(画像:フーフェス実行委員会提供・掲載許諾済み/プライバシー配慮のため一部加工)

【掲載許諾の確認が必要】各セッションの要旨・発言・他社の登壇資料(ぴゅあらば×Kissgram、T-group税理士法人のスライド等)は、本人または各社の掲載許諾を得た範囲でのみ反映します。スライド画像そのものの転載は行いません。

女風業界のトップセラピストも参加

この日、会場にいたのは経営者だけではありません。キャスト・セラピストも、所属店が連れてくる形、または店舗の許可が出ている場合は入場できる扱いになっていました。久しぶりに顔を合わせる者同士も多かったといいます。

これはセラピストとして働くことを考えている人にとって、見落とせない事実です。業界のイベントに所属セラピストを連れていく店と、そうでない店があります。 セラピストを連れて行くということは、経営課題についてセラピストと共にオープンに考えたい意思や、経営者だけでなく働く人と共に積極的に業界の未来を考える姿勢がうかがえます。求人票には書かれませんが、店舗が働く人をどう位置づけているかが表れる部分です。

協賛19社から見える業界の広がり

第24回の協賛は19社。分類すると、女風という業態の周辺に何が育っているかが見えます。

分類企業
掲載メディア・ポータルぴゅあらば/Kissgram/セラミィ
士業T-group税理士法人/グラディアトル法律事務所
検査キット・商品さくら検査研究所/Orga global
HP制作・予約システムOIKAZE+
サポート団体siente
第24回フーフェス 協賛企業一覧
協賛企業一覧(画像:フーフェス実行委員会 公式フライヤー・掲載許諾済み)

会場には各協賛社のブースも設けられ、来場者が直接サービスの説明を受けたり相談したりできる交流の場になっていました。検査キットや士業、ポータル、女風特化型SNSなど、女風の運営を支える事業者と経営者が名刺を交わす光景は、フーフェスが掲げる「CONNECT(繋がる)」というコンセプトをよく表しています。

注目すべきは、検査機関と士業が業界イベントに常設で関わっている点です。女風におけるセラピストの性感染症検査は、店舗が自主的に実施するもので法律で義務付けられているわけではありません。それでも検査機関が協賛に名を連ねている事実は、検査の実施が業界内で標準になりつつあることを示しています。

また、作家・漫画家・編集者にも声がかけられていました。形の残らないサービスを扱う業界が、作品として記録されることに価値を置いている。この姿勢自体が、業界の成熟度を示しています。

セラピストを目指す人が確認したいこと

求人票の条件だけでは、実際の働きやすさは分かりません。この日の内容を踏まえると、確認すべきは次の点です。

  • 講習と試験の制度があるか
  • トラブル時に店舗が対応する体制があるか
  • 匿名投稿や誹謗中傷への対応方針があるか
  • 在籍人数に対して運営スタッフが足りているか
  • 集客をXのアカウント1つに依存する形になっていないか
  • 業務委託契約と確定申告について説明できるか
  • 経営者が業界の場に出てきているか
  • 所属セラピストを業界のイベントに連れていく店か
  • 規範意識が高い店なのか
  • 自社のホームページに力を入れているか
  • さまざまな媒体の取材を受けているか
  • 経営者と直接話せるか
  • お店のファンになっている顧客がいるか
  • 長く続けているセラピストがいるか
  • 女性が見て不快感のないホームページか
  • 多数の口コミが掲載されているか(1000件以上あると偽装が難しい)

太字の4つは求人ページには書かれません。しかし、店舗が業界の中でどういう立ち位置にいるか、働く人をどう扱っているかを示す、偽装しにくい指標です。

Ryo
「時給いくら」より、こういう“偽装しにくい指標”で選ぶほうが、長く安心して働けます。面接で遠慮なく聞いていい部分です。

これから女風を利用する女性へ

店舗が増えた今、公式サイトの写真とプロフィールだけでは、安心して利用できるかは判断できません。それでも確認できることは意外にあります。

  • セラピストが講習と試験を通過しているか
  • 性感染症検査を定期的に実施し、結果を公開しているか
  • 何かあったときに連絡できる窓口があるか
  • 運営会社が実在し、業界内で認知されているか
  • 無店舗型性風俗特殊営業の届出番号が公開されているか

次回以降の開催予定

開催日時間対象
2026年8月12日(水)19:00〜22:30女風店様限定
2026年8月27日(木)19:00〜22:30女風店オーナー様限定

いずれも業界関係者向けです。詳細は女風解体新書 公式サイトで確認できます。

まとめ

第24回フーフェス「女風解体新書」は、来場300名超・協賛19社という過去最大の規模で開催されました。扱われたのは、近代史、ポータルの乱立、匿名投稿への法的対応、税務調査、大型店舗の運営、フランチャイズ。並べてみると、女風がすでに「新しくて特殊な商売」ではなく、他の業種と同じ課題を抱える事業になっていることが分かります。登壇では、業界のさらなる発展に向けて、マーケティングの強化や他業界の知見の取り込み、新たな価値の創出といった前向きな論点も共有されました。

そして最も印象に残ったのは、経営者が業界の表に出てきて、同業者の前で自分の店の運営を語っていたことです。利用する女性が店を見られるのは予約した日の数時間だけ。働く側でも、見えるのは面接と研修くらいです。公式サイトは店が自分で書くものですから、「安心」「安全」と並べるだけなら誰にでもできます。

けれど、業界の内側を知る同業者の前では取り繕いがききません。その場に立って自分の運営を説明できるかどうかには、公式サイトやパンフレットには出てこない、その店の実際の姿がにじみます。

Ryo
利用する人も、働きたい人も。「その店の経営者は、業界の表に出てこられる人か」。これを一つの物差しに加えてみてください。

本記事は第24回フーフェス「女風解体新書」公式サイトの公開情報および編集部の取材メモをもとに構成しています。取材ルールにより、公開前に実行委員会へ原稿を送り、掲載内容の確認を得たうえで公開します。登壇者の発言・他社の登壇資料・公式アルバムの写真は、掲載許諾が得られた範囲でのみ使用します。